今から約30年前に大量生産・大量消費の時代があり、大手スーパー、メーカーの時代が到来してくるという危機感を非常に感じました。 地元のスーパーがなくなってしまう、そうすると地元のメーカーもなくなってしまうんじゃないかと。 地元のスーパーやメーカーが生き残るには安売りではない商品の差別化が必要と強く考えました。 また、地元のものが地元で買えない。
これは地域社会や地域経済にとっても非常に良くないことだと思いました。 しかも大量生産されている食品の添加物や農薬などを考えるとそれを食べていていいの?という疑問も当然生まれました。 そこで地元のメーカー、スーパーが協力して安心・安全を柱に統一した基準を作り、オリジナルブランドとして差別化を図ろうというのが始まりです。
実はこだわりの味協同組合の商品は[こだわり」ではなく、「あたりまえ」のものを作ろうという考えなのです。 原料は国産であること、添加物は使わないこと、それでいておいしく、価格も安くすること。 今でこそ、こういう考えは主流ですが、当時としては他になかったのです。
ただ考えてみると昔の人たちは地元でとれたもの、地元でつくられたものを食べていた。 それは当然国産であり、無添加のもの。 いわば、今私たちが食べているものが時代とともに変わってきているんですが、この考え方は本来の食事の姿、あたり前のものなんです。 それをちゃんと作っていこう、売っていこうという考えなのです。
やはり正直でないといけないと考えます。人は食べるものでできています。特に小さい子供ならなおさらです。 今はたくさんモノがあふれています。安くて便利なものもたくさんあります。 もちろんすべてがダメではないですが、食べるものはちゃんとしたものでなければならない。 地産地消といいますが、地元でとれたもの、地元でつくられたものを地元のスーパーで買う。これが一番安心で安全なのではないでしょうか。
そのためにメーカーは丁寧に、正直に食品をつくっていく。これが一番大事だと思います。
いままでかかわったすべての人たちと様々なことがありました。この組合を立ち上げたときは理想と現実に悩まされることもありました。 ただ組合の理念、厳しい基準に沿った商品、消費者への丁寧な説明など、加盟して頂いている各社様の想いがすべて人を繋いでくれてきたと思います。
それだけみなさん真剣に取り組んでいます。 自分たちが地元や消費者にとってどういう存在なのか、食品の安心、安全とはどういうことなのか。 それを常に忘れず、それこそ、それがあたりまえのことなんだということを念頭に置いて取り組んでいくことで成果につながると思います。
今では勉強会にも消費者の方々が多く参加され、熱心な質問もいただきます。それもちゃんと伝わってきているなと感じています。
消費者の多くは食の安全に対する意識が非常に高いです。特にお子様には本当に安心できるものを食べさせたいと考えています。 わたしたちができることはその想いにこたえていくこと。 それは使命だと感じています。食を通じて地域の消費者のお役にたつように。
そのためにはいい商品を作るのはもちろんですが、食品に関する知識、商品に関する知識、健康に関する知識をしっかりともち、それを丁寧に伝えていくことが大事です。
私たちは地域の中小企業の集まりですが、加盟している企業がしっかりと経営を続けていけば地域の皆様へそれだけいいものを提供していくことができると考えます。